この記事の要点
- はちみつは睡眠の質に対して、良い影響をもたらす可能性があるという報告があります。
- エビデンススコアは71で、信頼性は高いとされています。
- 子どもの咳による眠りの問題や、入院中の患者さんの睡眠状態に関連する研究結果です。
はちみつとは、ミツバチが花の蜜などを集めて作る天然の甘味料です。
一般的に食品として摂取されるものであり、さまざまな場面で利用されています。
はちみつは、眠りの質に対して良い影響を与える可能性があるという研究が報告されています。
これまでに3件の研究が行われており、その内容は多岐にわたります。一つは、咳などの症状によって夜の睡眠が妨げられている子どもたちを対象としたものです。上気道感染症(鼻や喉といった呼吸器の入り口付近が感染する状態)がある105名の子どもを対象とした研究があります。就寝の30分前に、一度だけはちみつを摂取するという方法で調査が行われました。これは(参加者をグループに分けて効果を比べる、信頼性の高い研究方法)という形式で行われています。その結果、咳や睡眠の難しさに対して、親がはちみつによる症状緩和を最も好ましく評価したという報告が出ています。
また、1歳から5歳までの子ども300名を対象とした別の研究もあります。こちらでも、はちみつ製品が他の抽出物と比較して、咳と睡眠の難しさに対して高く評価される傾向が見られました。これらの研究では、(薬と同じように見えるが中身は有効成分を含まない偽の薬)を用いた比較が行われています。つまり、単に「なんとなく」ではなく、何もしない場合や他の物質を与えた場合と比べて、はちみつには特徴的な結果があることが示されているのです。
もう一つは、大人のケースです。急性冠症候群(心臓の血管が詰まるなどの問題が生じる状態)で入院している68名の方が対象となりました。ミルクとはちみつの混合物を摂取することで、睡眠の状態が良くなるという報告があります。
これまでに行われた研究は、科学的な信頼性を高めるための仕組みに基づいています。
先ほど触れた子どもたちの研究は、どちらもランダム化比較試験(参加者をランダムに分けて効果を比べる方法)によって実施されています。合計473名が参加した複数の試験から得られた情報です。こうした手法を用いることで、その結果が偶然ではないかどうかを確認しながら、慎重に検証が行われています。
また、対象となる年齢や状況も異なります。乳幼児を含む子どもたちの研究では、親の視点による評価が用いられています。一方で、入院患者さんの場合は、睡眠の状態についての報告となっています。このように、状況によって調査のポイントは変わりますが、はちみつが眠りの質に関わる可能性については、継続的に検討されていると言えます。
研究データには、いくつか知っておくべき限界も含まれています。
まず、今回挙げた研究の中には、対象となる人数が100名に満たない小規模なものも含まれています。今回のデータは、合計473名という規模での研究に基づいています。そのため、この結果がすべての人に当てはまるかどうかを判断するには、まだ多くの検討が必要かもしれません。
また、子どもたちを対象とした試験の多くは、一度の摂取による短期的な変化を見ているものです。長期間にわたって飲み続けた場合にどうなるかについては、今回のデータからは読み取れません。人によっては合わない場合もありますし、効果が出ない人もいます。研究の結果はあくまで「傾向」として捉え、自分自身の体調に合わせて考えることが大切です。
| 研究 | デザイン | 対象者数 | 期間 | 主な結果 |
|---|---|---|---|---|
| Archives of pediatrics & adolescent medicine(2007・PMID:18056558) | ランダム化比較試験(RCT) | 105名 | 1日間 | 良い影響が報告された |
| Pediatrics(2012・PMID:22869830) | ランダム化比較試験(RCT) | 300名 | 1日間 | 良い影響が報告された |
| Clinical nutrition ESPEN(2018・PMID:30390870) | ランダム化比較試験(RCT) | 68名 | 3日間 | 良い影響が報告された |
どんな人を対象にした研究?
研究の対象者は、合計473名です。内訳は、上気道感染症のある2歳から18歳の子ども(105名および300名)と、急性冠症候群で入院している患者68名です。
研究の対象が子どもや入院中の患者まで幅広いため、自身の状況に合わせて検討する際の材料となります。
注意点・限界
研究件数は3件です。これらの研究はすべてランダム化比較試験(RCT)に基づいています。
また、調査期間が1日間または3日間といった短期間であるものも含まれています。
はちみつを摂取すると睡眠の質はどうなりますか?
A: はちみつは、睡眠の質に良い影響を与える可能性があるとする研究が報告されています。こうした研究は3件確認されています。
子どもの夜間の咳に関して、はちみつの効果についての研究はありますか?
A: 上気道感染症のある子どもを対象とした研究において、夜間の咳に関する報告があります。その中では、症状の緩和について保護者が肯定的な評価を示した事例が挙げられています。
入院中の患者に対して、はちみつを用いた研究は行われていますか?
A: 急性冠症候群で入院している患者を対象に、ミルクとはちみつの混合物を用いる研究が行われています。睡眠の状態に変化が見られるという報告があります。
はちみつは睡眠の質に対して良い影響を与える可能性があるという報告が、複数の研究から示されています。子どもたちの咳に伴う眠りの悩みや、入院患者さんの睡眠状態に関するデータがあります。ただし、人数や期間に限りがある研究も含まれているため、すべての人に同様の結果が出るとは限りません。
自分の睡眠の状態を把握するために、セルフチェック診断も試してみてくださいね。

