この記事の要点
- メラトニンは睡眠の質に対して良い影響があるという研究が報告されています。
- エビデンススコアは60で、信頼性は中程度です。
- 成人や小児、あるいは特定の医療状況にある方などが対象の研究となっています。
メラトニンとは、睡眠に関連する文脈で検討される物質です。
研究においては、サプリメントとしての摂取や、睡眠の状況における検討対象として扱われています。
メラトニンは、眠りの状態に良い影響を与える可能性があるという報告があります。
これは、何もしない場合()と比較して、睡眠に関する指標が良くなることを示しています。
全体的に睡眠の質が向上したという結果が出ています。
このような傾向は、1683名もの多くの人が参加した(複数の研究結果をまとめて解析する手法)によっても示されています。つまり、たくさんのデータを集めて検討すると、メラトニンが睡眠に関連している可能性が見えてきたということになります。
メラトニンに関する研究は、さまざまな状況で行われています。
例えば、ICU(集中治療室:入院患者の状態を24時間体制で管理する部屋)に入院している成人203名が参加した小規模な研究では、メラトニンの摂取によって睡眠の質が良くなるという結果が出ています。この研究は(参加者をランダムに分けて効果を比べる、信頼性の高い研究方法)という手法で実施されました。つまり、特定の医療現場においても、睡眠の質に関する変化が報告されているのです。
また、食べ物を通じた摂取についても調べられています。
健康な成人20名という非常に少人数の研究において、チェリージュースを摂取することで、寝ている時間の長さや睡眠の効率などが上がることが示されました。つまり、特定の食品に含まれる成分も、睡眠に関連する指標に影響を与える可能性があると考えられています。
メラトニンの影響は、置かれた状況によって異なる場合があることも分かってきました。
例えば、手術を受けた516名の患者さんを対象とした研究では、メラトニンが睡眠の質に対して明確な変化を与えないという報告があります。この研究もメタ分析(複数の研究結果をまとめて解析する手法)によって行われました。つまり、手術後などの特定の場面においては、期待したような結果が出ないこともあるということです。
また、研究にはそれぞれ限界もあります。
今回のデータに含まれる研究の中には、参加者が20名程度の非常に少人数のものや、観察だけを行う研究も含まれています。したがって、これらすべての結果がすべての人に当てはまるとは限りません。メラトニンに関する研究報告は5件確認されていますが、まだ確実とは言えない部分もあります。
| 研究 | デザイン | 対象者数 | 期間 | 主な結果 |
|---|---|---|---|---|
| 掲載誌不明(2013) | ランダム化比較試験(RCT) | 125名 | 91日間 | 良い影響が報告された |
| PloS one(2013・PMID:23691095) | メタ分析 | 1683名 | 不明 | 良い影響が報告された |
| Critical care medicine(2020・PMID:33048904) | ランダム化比較試験(RCT) | 203名 | 7日間 | 良い影響が報告された |
| PloS one(2013・PMID:23691095) | メタ分析 | 1683名 | 不明 | 良い影響が報告された |
| European journal of nutrition(2012・PMID:22038497) | ランダム化比較試験(RCT) | 20名 | 7日間 | 良い影響が報告された |
| Journal of clinical pharmacology(2026・PMID:41014554) | システマティック・レビュー | 不明 | 不明 | 良い影響が報告された |
| Canadian journal of anaesthesia = Journal canadien d'anesthesie(2023・PMID:36977935) | メタ分析 | 516名 | 不明 | 明確な関連は見られなかった |
どんな人を対象にした研究?
研究の対象者には、神経発達障害を持つ小児(125名)や一次性睡眠障害の成人および小児(1683名)、ICUに入室している成人患者(203名)、健康な成人(20名)、手術を受けた成人患者(516名が含まれています。
対象者の属性は、健康な状態の人から、ICUに入室している患者や手術を受けた患者まで幅広く、個人の状態によって結果が異なる可能性があることを示しています。
注意点・限界
研究のデザインには、ランダム化比較試験(RCT)やメタ分析、系統的レビューなどが用いられています。
一部のメタ分析では、手術を受けた成人患者の睡眠の質に対して、プラセボと比較して効果が認められなかったという報告があります。
また、研究によって対象者の人数が異なることや、レビューの方法や結果の定義に異質性があることも報告されています。
メラトニンは入眠までの時間に影響しますか?
入眠までの時間に対して良い影響があるという研究が報告されています。その研究件数は2件です。
メラトニンは睡眠の質を変化させますか?
睡眠の質に良い影響があるという研究が報告されています。一方で、手術を受けた患者を対象とした研究では、プラセボと比べて効果が認められなかったとする報告もあります。
小児を対象としたメラトニンの研究はありますか?
はい、小児を対象とした研究が報告されています。具体的には、神経発達障害を持つ小児や、一次性睡眠障害を持つ小児が含まれています。
メラトニンは睡眠の質に良い影響を与える可能性があることが、複数の研究から示唆されています。しかし、状況によっては効果が出ない場合もあり、研究結果にはばらつきが見られます。今回の内容は、あくまで5件の研究データに基づいた報告である点に注意してください。
自分の睡眠の状態について詳しく知りたい方は、セルフチェック診断も試してみてくださいね。

