この記事の要点
- 睡眠の質や日中の眠気に関する状態をサポートする可能性が示唆されています。
- エビデンススコアは73で、信頼性は高いと報告されています。
- 夜間の休息のとり方や、日中の活動におけるコンディションが気になる方に向けた情報です。
L-テアニンとは、お茶などの成分として知られています。
さまざまな健康維持の文脈で摂取されることがあり、他の成分と組み合わせて扱われることもあります。
日中の眠気が原因となる機能の低下について、良い変化があったという報告があります。慢性的なストレスを抱える100名が参加した研究では、56日間継続して摂取したところ、28日目と56日目の時点で、日中の眠気による影響が軽減される傾向が見られました。この試験は(参加者をランダムに分けて効果を比べる、信頼性の高い研究方法)として行われています。つまり、特定の条件下では、睡眠に関連する日中のコンディションに何らかの変化をもたらす可能性が示されています。
また、寝つきや眠りの浅さに関する報告もあります。精神疾患のない健康な成人30名による小規模な研究において、1日200mgのL-テアニンを4週間摂取したところ、睡眠潜時(布団に入ってから眠りにつくまでの時間)や、夜間の睡眠トラブル、睡眠薬の使用が減少したという結果が得られました。こちらは(実際には成分を含まない物質で、比較のために使われるもの)を用いたランダム化比較試験(参加者をランダムに分けて効果を比べる、信頼性の高い研究方法)の結果に基づいています。つまり、入眠のしやすさなどの睡眠の指標に関連する可能性があるといえます。
抹茶の形で摂取した場合の研究も存在します。抹茶を12ヶ月間毎日摂取したところ、感情の捉え方や睡眠の質が向上した可能性が示唆されました。この研究には99名の高齢者が参加しており、軽度の認知機能低下が見られる方を対象に1年間継続して調査が行われています。こちらはランダム化比較試験(参加者をランダムに分けて効果を比べる、信頼性の高い研究方法)として実施されてきました。つまり、長期的な視点で見ると、睡眠の質への影響が検討されています。
他の成分との組み合わせによる相乗的な働きについても、動物実験(人間ではなく、マウスやラットなどを用いて行われる研究)の段階で報告があります。GABA(脳内の神経伝達物質の一つ)とL-テアニンを混合して摂取すると、L-テアニン単体やGABA単独の場合と比較して、睡眠の質や睡眠時間にポジティブな相乗効果をもたらすという結果が出ています。つまり、成分を組み合わせることで、より強い影響が出る可能性が示唆されています。
| 研究 | デザイン | 対象者数 | 期間 | 主な結果 |
|---|---|---|---|---|
| Nutrients(2022・PMID:35565828) | ランダム化比較試験(RCT) | 100名 | 56日間 | 良い影響が報告された |
| Nutrients(2019・PMID:31623400) | ランダム化比較試験(RCT) | 30名 | 28日間 | 良い影響が報告された |
| PloS one(2024・PMID:39213264) | ランダム化比較試験(RCT) | 99名 | 365日間 | 良い影響が報告された |
| Pharmaceutical biology(2019・PMID:30707852) | 動物実験 | 不明 | 不明 | 良い影響が報告された |
どんな人を対象にした研究?
研究では、慢性的なストレスを抱える100名の健康な成人が対象となっています。また、精神疾患のない30名の健康な成人や、軽度認知機能低下がある高齢者99名も対象に含まれています。
これらの研究には、ストレスを感じている人や高齢者が含まれています。そのため、自身の状況に近い状態の人々がどのように反応するかを検討する際の参考になります。
注意点・限界
検討されている研究は全部で4件です。
その内訳は、人間を対象としたランダム化比較試験(RCT)が3件と、動物実験が1件という構成になっています。
動物実験による結果が含まれているため、すべてのデータが人間に直接当てはまるかどうかについては注意が必要です。
L-テアニンは睡眠の質についてどのような報告がありますか?
A: 睡眠の質に対して良い影響があるという研究が報告されています。具体的には、眠りにつくまでの時間や、睡眠中の妨げといった指標に変化が見られた例があります。
L-テアニンを他の成分と一緒に摂取することについて、どのようなデータがありますか?
A: GABA(ギャバ)などの成分と組み合わせることで、睡眠の質や時間に相乗的な効果が見られたという動物実験の結果が報告されています。これはGABAまたはL-テアニンを単独で摂取した場合との比較によるものです。
高齢者のL-テアニン摂取に関する研究にはどのようなものがありますか?
A: 軽度認知機能低下がある高齢者を対象とした研究において、抹茶としての摂取が感情の知覚や睡眠の質に良い影響を与える可能性を示唆する報告があります。
L-テアニンの安全性については、ヒトを対象とした複数の臨床試験で調べられています。
重篤な有害事象は報告されていません。 2026年に発表された31件のランダム化比較試験(合計1,168名)をまとめた解析では、有害事象を偽薬(プラセボ:有効成分を含まない見た目が同じもの)を摂取したグループと比べたうえで、「重篤な有害事象は報告されなかった」とまとめられています。個々の試験では、軽い胃腸の不調・頭痛・いらだちといった軽度の内容が報告されたものもありますが、その頻度は偽薬を摂取したグループと大きく変わらなかったと報告されています。ただし、体質によって合わない場合もあります。
研究で調べられている摂取量。 試験で用いられた量は1日あたり200〜400mgが中心で、8週間にわたって最大900mgを用いた試験も報告されています。一方で、公的機関が定めた1日あたりの摂取上限量は今回の調査では見当たりませんでした。これは「上限がない」という意味ではなく、上限が設定されていないという事実を指します。
薬を服用している方は。 降圧薬(血圧を下げる薬)・精神刺激薬・睡眠薬などとの飲み合わせについては、理論上の指摘はあるものの、それを実際に確かめた臨床研究や報告は今回の調査では見つかりませんでした。念のため、これらの薬を服用中の方は、摂取する前に医師や薬剤師に相談してください。
妊娠中・授乳中の方、お子さんは。 妊娠中・授乳中の方やお子さんへの安全性については、十分なヒトの試験データが見当たらず、「安全」とも「危険」とも確認されていません。実際、海外の申請書類でも18歳未満・妊娠中・授乳中の方は対象から除外されています。該当する方は自己判断で摂取せず、医師に相談してください。
なお、規制の状況としては、米国ではGRAS(企業側の安全性の判断に当局が「異議なし」と回答する制度で、当局による安全性の承認とは異なります)の通知が複数あります。欧州(EU)では、新規食品としての認可手続きは今回の調査時点では完了していません。
いずれの内容も、現時点で確認できた研究や公的資料の範囲でまとめたものです。体調に不安がある場合や、持病・服薬がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。
L-テアニンは睡眠の質や日中の眠気に関連する状態に良い影響を与える可能性が、複数の研究から示唆されています。エビデンススコアは73で、信頼性は高いとされています。ただし、動物実験を含む研究が含まれていることや、人によって結果が異なる点には注意が必要です。
ご自身の睡眠スタイルを振り返るために、セルフチェック診断も活用してみてください。

